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第9回日田ラボ「ご隠居カフェまちづくり交流研究会」レポート

ようやく日田も朝夕涼しくなってきました。みなさまいかがお過ごしでしょうか?

さてさる10月5日(水)夜7時~9時、いよいよ第9回めの日田ラボ主催「ご隠居カフェまちづくり交流研究会」が開催されました。

今回のご隠居カフェはまちづくり達人養成シリーズ「市民参加型まちづくりワークショップの原理と手法を学ぶ その2」です。
音楽祭やスギダラ講演会などでやや時間が経ちましたが、元来、日田のまちづくり人材の活躍を中間的に支援したいという大きな構想を抱いて設立した「日田ラボ」ですから、しっかりと人材育成のプログラムを積み重ねていくことも大きな使命だと考えています。

そのため日田ラボでのご隠居カフェの期間があいた間、8月以降の日田ラボの活動を振り返りつつ今後に繋げていくための「日田ラボ通信 Vol.2」を発行しました。

そこからダイジェスト的に内容をご紹介。
(1)2011年度福岡アジア文化賞 芸術・文化賞を受賞されたドイツ人修復建築家のニールズ・グッチョウ博士が、9月12日(月)の中秋の満月の夜、日田・三隈川での観月会に藤原先生一行とともに来られました。
藤原先生によると、グッチョウ博士は世界の歴史的建造物の保存修復再生界では著名な実践家!とのことですが、九州や日田ご来訪は初めてのことでした。

そのグッチョウ博士が日田に来られて、しかも遊船と豆田町の歴史的町並みを楽しまれたとのこと。短時間でしたが、グッチョウ博士と日田のご縁を生み出す良い機会になったと思われます。驚くべき来訪者が来られていたのだな、とあらためて感じました。

(2)続く9月14日(水)には私たち日田ラボが主催するかたちで「日本全国スギダラケ倶楽部」創設メンバーお三方の講演会をパトリア日田ギャラリーを会場に催しました。
お題は「日本全国スギダラケ倶楽部の活動とスギの可能性」
日田ではあまりにも身近な杉ですが、 産地として苦悩している今、あらためて日田地域固有の日田杉を今後どのように魅力ある資源として活用していけばいいのだろうか、と素朴に悩む中、同じような努力を重ねる宮崎県や全国各地で元気なデザイナーたちが「杉っていいねえ、杉をもっと楽しんでみよう」と新たな光を当てている姿を知り、ぜひとも日田市民のみなさんにそんな元気が出るようなお話しをしていただきたい、と講演会のお願いをしたのでした。
講演会後はパトリア日田で懇親会が開催されました。
続いて翌明け方まで夜なべ談議の座が日田ラボで設けられましたが、講師として来られた南雲勝志さんから
「日田は、とても豊かだねぇ。何か、やらないといけないの?」という率直な疑問を投げかけられました。
たしかに日田は豊かだと思います。水郷と称され、江戸時代には幕府直轄の天領でもありました。
しかし一見、豊かに見えるけれど、本当にそうなのだろうか、当たり前のことを当たり前に感じることができているのだろうか、特に、講演で照会された宮崎県日向市のまちづくりのように、利害や年齢や社会的な関係を越えたくさんの市民のかたがたが10年20年まちづくりをやってきて、ようやく少しずつ変わっていった、というお話しには一同心を打たれていました。
こうした事績を参考にしていく際に、では日田はどうなんだろう、と考えないではいられません。
イベントやまちづくり事業を次々に展開していったからといって、すぐに日田が今日・明日変わるわけではないのです。
むしろゆっくり手間暇をかけながら多くの市民の方々が集い語らいながら、ようやく世代も変わる頃、何かが生まれてくるような、10年後20年後さらには100年後につながるまちづくりを
今からやっていかなければならないのではないか、そんな態度や覚悟を南雲さんは指摘してくださるのです。そうそう、そうなんです。私たちこそ、そんな思いがあって初めてこの「日田ラボ」のご隠居カフェをゆるゆると開催しているのではないだろうか、うんうん納得!、という話になりました。

今年の5月の開所して以来、少しづつですが集いを設けてきました。
ご隠居カフェを中心軸としながら、まちあるきワークショップ、音楽祭、講演会、そして次にはワヤンベーベル絵巻物芝居、などなど。
おかげで日田ラボ開所の頃より、多士済々のかたがたがご参集くださるようになり、プログラムに関わってくださり、地元をはじめ、ずいぶんと遠方よりもご参加してくださるが増えて来ています。

少しずつではありますが日田ラボがみなさんの「紐帯」になっているかな・・・・というところです。


さてご隠居カフェ。
前回の「市民参加型まちづくりワークショップの原理と手法を学ぶ その1」開催時よりすっかり時が経ちましたが、今回はその二回目。
いよいよ藤原惠洋先生の講話です。
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藤原先生は「小さなつぶやきからつむぎだす物語の創出」といった考え方をとても大切にしているとのこと、でもそのつぶやきは、ツイッターのような現代的な独白型つぶやきとは違い、肌のあたたかが伝わる対話誘発型つぶやきのことです。

藤原先生がまだ若い学生の頃のことから話は始まりました。
1978年、当時は今のようなフラットな市民相互の創発型市民参加や住民参加のまちづくり現場というものは社会的にも乏しいものでした。

建築家をめざしていた頃の若い学生時代の藤原先生は、そんな時に意外な人物たちとの交流が始まりました。

まちづくりといっても、それは大所高所から鳥瞰していく計画担当の行政マンや専門家、建築家、計画者たちだけで進めるのではなく、虫の目のようにまちに暮らす住民の考え方や声もたいせつに吸い上げていく必要がある、そんな考えを横浜市技監をつとめていた田村明さん、世田谷区都市デザイン室を率いた原さん、計画技術研究所を率いた林泰義さん、さらには参加型ワークショップの極意と初期的方法論の開拓伝播につとめていた及部克人先生(武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授)などに出会っていきます。
多くが偶然の出会い・邂逅でしたが、今考えると、お互いが求め合っていた時代なのだったのだろう、と言います。

このような先人たちから、一人の天才よりも三人寄れば文殊の知恵、の方が素敵じゃないかな、まちにはこうした考え方や態度が必要だと言われ、とても衝撃を受けたのです。

さらにPETA(Philippine Educational Theater Association=フィリピン教育演劇協会)のアーニ—・クロマ氏のワークショップに参加したことが大きな影響を成していきます。
PETAは文部省外郭団体として文盲の子どもたちに言葉を教える目的で設立された組織ですが、そこで身体全体をつかったユニークな参加と伝達の方法が組み立てられていたのです。

たとえば一例。集まった人たち、からだを用いて表現をしよう、と抽象的な課題を出しても、そう簡単にからだは動きません。
しかし参加者に「そこにうるさいハエが飛んでいる。みんなで協力し合って退治して下さい」と指示を出します。
簡単なことです。たちどころに、1人が両手を叩いて蝿を追います。続けて他のメンバーも、そこだ、あそこだ、と手をたたきながら蝿を追いあうのです。
もちろんほんとうのハエはそこには居ないのですが、それでいいのです。
想像力を駆使しながら、身体も動いていく。お互いに恥ずかしくもなく、大きな動作で動き回る。

これをまわりで鑑賞したらどうでしょうか?
参加者全員で蝿を追う様子は、まるで全員で踊っているかのように見え始めるのです。

アーニーの魔法のような指示に従いながら、からだを動かしていくと、いつしか気持ちよく参加者みんなで複雑な動きや表現をしていることがわかります。
ワークショップの隠れたテーマがもし「みんなで身体表現をする。」ということだったら、すでに参加者は大きな成果を生み出していることになります。

でもこの集まりが、とても目的がはっきりしていて、最初から「効果的な身体表現の研修」とでもいうようなテーマだったらどうだったでしょうか?そう簡単に、初めて出会う見ず知らずの人たちが一緒に身体表現ができたでしょうか?

考えてみれば、アーニーの指示は「素晴らしい身体表現をする」に向かうのではなく、たまたま集まった集団が「あることを協働でする」ということに傾けられていたのです。
参加型ワークショップのしきり役や牽引役をファシリテーターと言うようになっていきますが、じつは藤原先生がご指南をいただいたアーニ—・クロマ氏は世界を代表するファシリテーターとして知られています。
彼が豊かな表情たっぷりに指示するワークショップこそ、こうしたワークショップの楽しさや意義を体験的に伝える見事な研修であったと藤原先生は思い出さないではいられない、と感慨深そうにお話しされてのでした。

ほかにも1980年代草創期の名物ファシリテーターや世界的な参加型デザインの先導者ヘンリー・サノフ先生のエピソードなどが語られました。

「まちづくり」を目的として「まちづくり」を考えるのではなく、だれかの小さなつぶやきをみなで紡いでいくことが「まちづくり」につながっていくのです。
AさんのつぶやきにBさんが「さらに、こうなるとオモシロイ」と便乗していく。
たまに悪のりやダジャレもOK、グルグル回っていくともっと膨らんで面白くなっていく。
自分の頭に中に台風が起こっていく、それがいわゆる頭の中の脳内台風で「ブレーン・ストーミング」(なるほど!)となるのです。

こうした草創期、黎明期の住民参加型まちづくりには哲学や思想を体現していくための、ユニークで楽しい方法論が次々と開拓されていった、というエピソードも興味津々でした。

そして最後には、つい最近の先導的な事例も紹介されました。
たとえば「世田谷トラストまちづくり」があげられました。
世田谷は1980年代後半から、様々なことに取り組んでいます。
その中でも個人の私有財産(不動産)も、まちを支える資産にほかならない、大切に活用していこうと発想されているのです。

その典型例が「地域共生のいえづくり支援制度」。
自己所有の建物の一部あるいは全部を活用したまちづくりの場づくりを支援することで、地域共生のまちづくりを推進し、世田谷区民の暮らしやすい環境と、地域の絆を生み出し育んでいくことを目的としている「地域共生のいえづくり支援制度」は「個人」だけでは考えられない制度です。
この制度には、日田地方でも山林や敷地を広く所有する参加者の方達はとりわけ興味津々だったようです。
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数多くの切り口は藤原先生のお話の魅力的な面でもありますが、講話の最後には「みなさんの身近な課題は何ですか?ちいさなつぶやきを教えて下さい。」と呼びかけられました。
それぞれにマイクを回しながら、みなさんの難儀なお困りごとがあればご紹介されまぜんか、とお尋ねしました。

●合意形成の方法がいくつもあると先生が言われていたが、それをぜひ知りたい。
●自分達の地域では、行事がいくつもあるけれど、みんなで一斉に取り組んでいくためには、どのような議論をしていけばいいのか、教えて欲しい。
●世田谷の「地域共生のいえづくり支援制度」のように、自分達の家などをなかば公共のスペースにしていくには、どのようにしていけば良いだろうか。
●地域の先哲などに、もっと地域の方が興味をもってもらうには、どんな仕掛けが必要なのだろうか。
●まちづくりは抽象的です。自分のまちを知りたい、知って欲しい。
●古い建物を残して欲しいというだけではなく、どんな風に活用していけば良いのか、どのように残していけば良いのか、みなで考えられるようにしたい。
●ネットワークを広げて、さらに強くしていきたい。まず、自分でやれることをやろうと思っている。

などなど、みなさんの多彩な課題が見えてきましたので、意見交換を交わしながら盛り上がってしまいました。(今回のご隠居カフェは、30分オーバーで終了しました。)

終了後、階下へ移動し、美味しい日田スィーツやお茶を飲みつつ、オーナー熊川さん差し入れのだんご汁、熊川姉御の安心院さんより差し入れのおにぎりなどをいただきながら、夜も暮れるのを忘れて、さらに熱い熱いお話が展開していったのでした。
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さて陸続と展開していく今後の日田ラボ+ご隠居カフェのスケジュールは、、、、

◎11月9日(水)19時〜21時 日田ラボ(日田市天神町 旧横尾家下の離れ家シタンキャ)および熊川家屋敷庭
第11回ご隠居カフェまちづくり交流研究会「バリ舞踊公演」〜江戸期旧横尾家屋敷で楽しむバリの古典芸能ワヤンベーベル〜
講師・演者:小谷野哲郎(バリ舞踊家・文化人類学者)、ワヤンベーベル一座 
司会:藤原惠洋

※ご隠居カフェの中で実践的なミニ公演を開催する予定です。
※研究会終了後、ワヤンベーベル一座を囲んで交流会を開催します(会費は実費徴収)。


◎11月10日(木)午前10時〜桂林小学校ワークショップ
        午後2時〜三和小学校ワークショップ

◎11月11日(金)午前10時〜みのり保育園ワークショップ
        午後1時〜月隈こども円ワークショップ
   
        午後6時〜8時 ワヤンベーベル公演in 千年あかり 第一回公演 
        会場は明王寺境内、鑑賞無料。

◎11月12日(土)午後6時〜8時
  ワヤンベーベル公演in 千年あかり 第二回公演
  会場はクンチョウ酒造酒蔵資料館(予定)


◎11月16日(水)
  ご隠居カフェまちづくり交流研究会
  会場:日田ラボ2階
  「市民参加型まちづくりワークショップの原理と手法を学ぶ その3」

◎12月7日(水)
  第12回ご隠居カフェまちづくり交流研究会 会場:日田ラボ2階
  「市民参加型まちづくりワークショップの原理と手法を学ぶ その4」
 
◎12月22日(木)
  日田ラボ クリスマス+忘年会
  第13回ご隠居カフェまちづくり交流研究会
   杉コレクション2011 in 日向(2011年11月12日)参加者報告会
   杉コレ in 日田 準備委員会結成のためのミーティング

   クリスマスプレゼント交換会

◎12月28日(水)日田ラボ 歳末大掃除  餅つき大会(予定)


◎2012年1月8日(日)
  日田ラボ プチどんど焼き+こたつdeシネマ
  第14回ご隠居カフェまちづくり交流研究会 会場:日田ラボ2階
  「映画を通したまちづくりの可能性」

◎1月18日(水)
  第15回ご隠居カフェまちづくり交流研究会 会場:日田ラボ2階
  「市民参加型まちづくりワークショップの原理と手法を学ぶ その5」

◎2月1日(水)
  第16回ご隠居カフェまちづくり交流研究会 会場:日田ラボ2階
  「日田市がすすめる公民館活動の特色と日田ラボとのコラボを考える」

◎2月15日(水)
  第17回ご隠居カフェまちづくり交流研究会 会場:日田ラボ2階
  「市民参加型まちづくりワークショップの原理と手法を学ぶ その6」

◎2012年3月11日(日)パトリア日田小ホール
  日田ラボ 平成23年度総括シンポジウム+第18回ご隠居カフェまちづくり交流研究会

  基調講演 藤原惠洋「地域再生の3つのてがかり〜文脈・矜恃・紐帯〜」
  活動報告シンポジウム
 パネリスト:千代田健一氏
         (日本全国スギダラケ倶楽部デザイン部長・インテリアデザイナー・プラザ日田アドバイザー)
       合原万貴(たかま.net・プラザ日田)
       その他(交渉中)


※上記の予定の他に、必要に応じて随時・臨時でご隠居カフェを開催していく予定です。
 お楽しみに!!

日田ラボに、こんなものがあったらイイナ★
近所をぐるっと散策できる自転車!
みんなで懇親会をする時の準備に、お鍋!
たまにご飯を炊きたいので、炊飯器!
割り箸じゃなくて、お箸!
コーヒーメーカがあるとコーヒーが飲めるなぁ・・・・
など、なんとなく、待ってます・・・(^^)
by uk-jp | 2011-10-18 13:36 | 日田ラボ
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